Git 挫折経験者が『わかばちゃんと学ぶ Git 使い方入門』を読んでみた
はじめに
私はプログラマであるにも関わらず、バージョン管理システムを使わずにプログラミングをしてきました。 ネットでは糾弾されてしまう「変更履歴をコメントで残す」ということが当たり前な環境でした。
仕事にも慣れて技術情報をネットで探す余裕が出来てきた頃、「どうやら自分達がやってることはありえないらしい」ということにようやく気が付きました。 焦りを覚えた私は Git の参考書を購入し、初めて Git に触れてみました。
が、しかし、私が手にした参考書は、コマンドプロンプトから Git を操作し、各コマンドではどういったことが出来るのかを説明している、初学者向けというには固すぎる内容のものでした。 正直に言って最初の方を読んだ(眺めた)だけで本棚に仕舞ってしまい、Git に対する苦手意識がついただけで終わってしまいました…。
バージョン管理の勉強をしないといけないなぁ…と思いながらも手を出せずにいましたが、『わかばちゃんと学ぶ Git 使い方入門』という本の良い評判をネットで見て「これなら読めるかも…」と頭の片隅に記憶しました。 それから少し経って時間に余裕ができ、ようやく本書を購入。一気に読破しました(4時間程度)。
わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門〈GitHub、Bitbucket、SourceTree〉
- 作者: 湊川あい,DQNEO
- 出版社/メーカー: シーアンドアール研究所
- 発売日: 2017/04/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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以下の点が素晴らしいと思いました。
- 書いてある通りに操作すれば一通りの機能を経験できる
- SourceTree を使っているので GUI 操作でとっつきやすい
- 最初の例題がコードではなく単なるテキストファイルのため分かりやすい
- マンガで読みやすいのに要点はキチンと押さえられている(と感じる)
- GitHub 上にサンプルが用意されている
それでは以下、章ごとの感想を記していきます。
Chapter1 Gitって何?
主人公のわかばちゃんが Git を使うようになるまでの導入部。
短いながらも「バージョン管理をするとこんなにいいことがあるよ」と分かりやすく例を示してくれる。
「バックアップから戻さなきゃ……ってどれが最新のバックアップだよ!」という流れは経験した人も多いのではないでしょうか。
Chapter2 個人でGitを使ってみよう
SourceTree(Gitを内蔵したGUIツール)をインストールし、リポジトリ(貯蔵庫)の作成、コミット、チェックアウトと基本的な操作を体験できます。
現実世界のお好み焼きを例に、長いページを割いて懇切丁寧に解説してくれます。
「色んな人に理解してもらえる構成にしよう」という気持ちが感じられました。
Chapter3 複数人でGitを使ってみよう
GitHub のアカウントを作成し、本書用に作成された GitHub 上のリポジトリを対象に操作を進めます。 大まかに言うと、リポジトリを自分のローカルにダウンロード・編集・アップロードという流れです。 他人のリポジトリに対して操作する機会は独習では中々なさそうなので、非常に有益でした。
また、ブランチ機能の説明も非常に親切でした。 ブランチの操作方法だけでなく「どのような時にブランチを分けるのか」「どのような時にブランチを統合するのか」と具体的な説明があって、「慣れるまではこの通りにすればいいんだ」と安心できました。
他にも「コンフリクト」の対応方法や「プルリクエストは他人からどのように見えるのか?」など、初学者が気になるであろう細かい点まで説明が行き届いていて大変分かりやすかったです。 最後に GitHub と同様のWebサービスである Bitbucket の使い方も紹介してくれており、非公開にしたいリポジトリは Bitbucket を使ってみようかなと、選択肢が増えました。
Chapter4 実用Git~こんなときはどうすればいい?~
Chapter3 はダウンロード・編集・アップロードという流れの説明でしたが、Chapter4 はトラブルシューティング的な解説です。 ここで挙げられるケースがどれも実際に起こり得そうな内容ばかりで非常に参考になります。
なお、Chapter3 までは何も考えず本の通りに操作すれば進んだのですが、ここからは少し自分で考える必要が出てきます。 まず、本で起きているトラブルを再現するとこまでは自分で操作することになります。 簡単な内容ではありますが、自分で考えて操作するとなると「あれ?どうやるんだっけ?」となることも多く、Chapter3 を見返しながら操作することで理解が深まりました。
また、「SECTION 21 プルは実際に何をやっているの?」では「リモートブランチ」「リモート追跡ブランチ」「ローカルブランチ」についての説明があったのですが、非常に価値のある内容でした。 絵でないと理解しづらく、理解不足のままだとトラブルを起こすであろう部分だったので、この機会に理解できて良かったです。
Chapter5 Gitで広がる世界
Github Pages の説明と Git+GitHub がもたらす効果についてのお話でした。
Github Pages は簡単な Webページを公開できる便利機能なので知ってて損は無いですね。
Git+GitHubの恩恵について、「情報の透明化」「コミュニケーション」など、独学では気付けない点に触れてくれて良かったです。
さいごに
この本を通して、バージョン管理システム(Git)に対する苦手意識が薄らいだような気がします。
あとがきによれば「Gitの本領はコマンドライン」とのことで、果たして自分に使いこなせるのか…という気もしますが、ひとまずは SourceTree の GUI 操作で慣れていければと思います。
本書は非常に平易でありながら細かいところまで目が行き届いており、誰にでもオススメできる素晴らしい一冊だと思います。